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「……え?寝た?この子」
「俺、たまに思うけど、シキちゃんって翔空と同じくらいマイペースだよな」
「……まあ、今日はよく働いてたし。疲れてたんじゃない?」
夏菜は、翔空に寄りかかって眠る詩姫を覗き込みながら頬を緩めた。
「……まだこれは、仮にの話だけどな」
バッグミラー越しに夏菜と祐介を見ながら、詩音が静かに口を開く。
「シキがこの場所にいられなくなったら、どうする?」
夏菜と祐介は顔を見合わせると、なんでもないというように笑った。
「いつでも帰ってこれる場所にするだけです」
「一人じゃないって、もうシキちゃんだってわかってると思うっすよ」
二人の答えに優しく目を細めた詩音は、チラッと翔空に視線を移し、小さく溜息をついた。



