「……すごい」
リハーサルも何もして無いのに。
「じゃ、早速ライブ始めるぞー!」
「あとはよろしくー、シオンさん」
ドラムの合図で勢いよく始まったライブ。
翔空と祐介くんがトンッと舞台端に降り立って、ひとり待機していたあたしの元へと歩み寄って来る。
「すっげぇな!」
「…リハもほとんどしてないのに、セッションが抜群だ。あーゆーの、カリスマ性がないと無理だよね」
珍しく真面目な顔でステージ上を見つめる翔空の横顔に、思わずキュンとしながら、あたしもステージを見上げる。
陸部のメンバーが奏でる音は、素人とは思えないほど本格的だった。
そしてなにより。
お兄ちゃんの歌は、あたしが2年前最後に聞いた時よりも、さらに上手くなっていて。
迫力が半端なかった。
芸能人のオーラをもまとったお兄ちゃんは、いつも以上にキラキラと輝いていて……
その横顔は、見た事のないくらい生き生きしていた。



