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────…キャアアアアアアッ
耳が割れるほどの歓声が響き渡った。
「えー…あ、ゆーすけ、パス」
「はっ!?いきなり俺にパスかよ!」
ライブステージの中央。
すでになっちゃんや他の陸部メンバーが楽器と共にスタンバイする中、翔空と祐介くんがいつものやり取りを交わしている。
「あいつらっていつもあんな感じ?」
「うん、あのまんまだよ」
舞台の端で待機しているあたしとお兄ちゃんはそんな2人の様子をみて苦笑していた。
大勢の前に立とうが、どれだけ注目されようが2人のペースは何も変わっていない。
野外ライブ会場だというのに、学園敷地いっぱいまでお客さんで埋まっていた。
「じゃー、早速ゲストー」
「皆も知ってるだろうけど、有名モデルの〝シオン〟が来てくれてるからな!あ、ステージにそれ以上近づくなよ!わかったか!?」
────…キャアアアアアアッ
「お兄ちゃん……凄い歓声だよ」
「こんなもんだろ。んじゃ、俺行ってくるから」
「が、頑張って……!」
お兄ちゃんが営業スマイルを浮かべて、ステージ上に上がると、ひときわ大きな歓声が辺りを包んだ。



