「あたしのお兄ちゃん」
「はぁっ!?〝シオン〟が!?」
「う、うん」
すみません、全然似てなくて。
心の中で謝罪してから、あたしは真面目になっちゃんに向き合った。
「お兄ちゃんね、モデルやってるけど、本当は歌手になりたかったんだよ。だからすっごく歌は上手。……だめかな?」
「い、え、だめかな…って、こんな有名な人に出てもらえるわけ……」
戸惑ったようにお兄ちゃんとあたしを交互に見るなっちゃんに、あたしは振り向いて頭を抱えているお兄ちゃんの袖をつかんだ。
「お兄ちゃん、お願い。なっちゃんはあたしの大事な友達なの……っ」
「…はぁ……シキのお願い、この俺が聞けないはずがないだろ」
深い溜息をついて、そう言ったお兄ちゃんにあたしは思いっきり抱きついた。
「っ……たく、調子いいな。シキは」
「ありがとう!お兄ちゃん!」
「ほ、ほんとに良いんですか?」
「一度やるって言った以上、責任持ってやるから、安心してよ。夏菜ちゃん」
「あ、ありがとうございます!私、皆に知らせてくるので!」
祐介くんを突き飛ばし、なっちゃんはすごい勢いで走っていった。



