「……夏菜」
今にも泣きそうななっちゃんをあたしの横からグイッと引っ張り、抱き寄せた祐介くん。
い、いつの間に……?
「我慢すんな」
「うるさいわよ」
……こんな時でもなっちゃん、甘えないんだ……。
でもどうしよう。
ボーカル無しじゃやっぱり困るよね?
歌が上手い……歌が上手い……
……歌?
「っ……なっちゃん!」
「え?」
「いるよ!歌が上手いボーカル!」
「は?ど、どこに?」
歌が上手いボーカル。
あたしはバッと振り返り、ギクッと身体を揺らしたお兄ちゃんの腕を引っ張った。
「ほらここに!」
「シキ!俺は嫌……」
「お願い!お兄ちゃん!一生のお願い!」
「………………」
なっちゃんはお兄ちゃんを見て目を見開いて固まっていた。
「その人……モデルの……」
やっぱり知ってたんだ。
祐介くんでも知ってるくらいだもんね。



