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「なっちゃーん!」
「うわっ詩姫!?」
ライブの準備中の裏方で、なっちゃんに勢いよく抱きついたあたし。
そんな様子を後ろで翔空と祐介くんが見守っている。
「あんた達まで……見に来たの?」
何故か呆れた様子で肩を竦めたなっちゃんに、祐介くんは苦笑い。
「彼女のライブなんだから、来るだろ」
「やめてよ、彼女とか。柄じゃない」
「ったく、もう少し素直になれよな。シキちゃんを見習え」
「私はいつでも思ってる事言ってるわよ」
祐介くんとなっちゃん。
カップルとは思えないほど、いつも口喧嘩ばかりしているようだけど……
この口喧嘩みたいなものが、この2人のコミュニケーションなんだよね。
ちゃんとお互いの事想いあってるんだよ、これでも。
「詩姫、私準備あるから行くわね」
「うんっ!ちゃんと見てるよ!」
「はいはい。ほら、翔空!詩姫の事ちゃんと見ておきなさいよ」
のんびりと欠伸をして壁に寄りかかっていた翔空を睨みつけながら、なっちゃんはあたしの頭を撫でた。



