「ごめんね、びっくりしたよね」
あ、なんだ、冗談か。
ホッと息をつく。
「でも冗談じゃないよ」
「!?」
思わずギョッと身体を引いたあたしの背中に手を回し、彼はグイッと近づけた。
「俺、キミが好きになっちゃった」
「……なっ!?」
どうしよう。
状況がわからない。
何故か冴え渡った頭で考える。
そもそもこの人とは〝たった今〟会ったばかりで、あたしが唯一知ってるのは彼が自分から言った名前のみだよね?
言ってしまえば名字すら知らない相手だ。
なのに、あたしが好き?
そんなの一体、どこの誰が信じられるっていうの?
……うん、やっぱり冗談なんだ、これは。
そう結論に達し、ひとり納得する。
そんなあたしの心を読み取ったかのように、彼はフッと微笑んだ。



