「我慢してるのは、あたしじゃなくて翔空の方だよ」
「………………」
「いいよ、我慢しなくて。翔空の思ってる事くらい、何でも受け止めるよ」
「…いいの?」
「当たり前でしょ?あたしは翔空のお姫さまなんだから」
自分で言っていて恥ずかしいけど。
そうでも言わないと、翔空はこれからもずっと我慢するような気がするから。
「……なら、もう俺我慢しないよ?」
なにかに吹っ切れたように、いつもの翔空の穏やかな微笑みに、あたしも釣られて頬を緩めた。
「俺の前世、きっとウサギだったんだよ」
「ウサギ?」
「そー。だから、寂しいと死んじゃうの」
翔空の頭にウサギの耳が生えているところを想像して、プッとふきだす。
「だから、寂しくさせないでよ、シキ」
「ふふっ……わかった」
そんな白いタキシード姿で〝寂しくさせないで〟なんてなんか可笑しいけど。
これが翔空だって思える。
〝素〟とかどうとかじゃなく、きっとどの翔空も翔空自身なんだから。



