「……私、華沢さんって、もっと冷たい子かと思ってた」


「あたしも!……初日のイメージが強くて。準備中から思ってたけど、でも実は明るい子なんじゃって……」


「あの学園の王子さまの彼女だし、もっと鼻高々なのかと思ってたけど……」



そんな声に、あたしはなっちゃんに抱きついたまま目をぱちくり。


初日?

……あ、もしかして。



〝か、彼氏いますか!?〟

〝……いません。あたし、用事があるので失礼します〟



ここに転校してきた初日、そんな会話をしたのを思いだす。


確かにあの時は、翔空とも出逢う前。

あまり人と関わりたくなかった気持ちがあった時だから、自然と声音も態度も冷たくなっていたかもしれない。


……今は、たとえあたしがここから居なくなったとしても、思い出として残っていて欲しいと思う。


翔空やなっちゃん、祐介くんと出逢って、あたしは変わったんだ。


出来ることなら、同じクラスの子達とも仲良くしたい……そんな気持ちはとっくに芽生えていて。


あたしがなっちゃんを見上げると、なっちゃんは優しく微笑んで、トンッと背中を押してくれた。