そして、ゆっくりとまぶたを開けた彼に、あたしはひょこっと覗き込みながら一言。
「こんなところで寝ていたら、風邪、引いちゃいますよ?」
少々、緊張。
でも本当にこんな所で寝ていたら、風邪ひいちゃうよ。
実際、ここは石に囲まれているからか、冷房が効いたようにひんやりとしているし。
9月のまだ暑さの抜けきらないこの時期でも、こんな所で寝てちゃだめだよね。
風邪ひいたら困るのはこの人自身だもん。
寝ぼけているのか、ボーッとあたしを見つめてくる彼の瞳にドキッと鼓動が高鳴る。
かと思ったら、
……突然、彼の手があたしの腕をつかんだ。
「……へ?……はわっ!」
そのまま強い力でグイッと引っ張られ、気づいた時には彼の腕の中におさまっていて。
並んで石の上に寝っ転がるような形で、そのしなやかな腕に抱きしめられていた。
……なんでこうなるの!?
こ、これはもしかして夢!?
ガチゴチに固まったままパニクるあたし。
知らない人……しかもこんな王子さまみたいな人に突然抱きしめられて、ドキドキしないはずがない。
いや、ドキドキする意味は別として。
なんかあたし危険な状況だったりする!?
話しかけたの間違いだった!?
───…ドクンッ…ドクンッ…ドクンッ!
今にも心臓が口から飛び出しそうなくらいに、はげしく音を立てていた。



