キミと初恋、はじめます。






「……なんで?」


目の前に広がる海にあたしはただそれだけ、呟いた。



「なんでって、妹が初めて告白するんだから、それ相応の舞台が必要だろ?」


先程も見せたニヤリとした笑みで、お兄ちゃんはあたしの頭をくしゃっと撫でる。


夕陽で照らされた海は紅く染まっていて。

平日の夕方とあってか、都会に近いこの海でも人は誰もいなかった。



「病院出る前に、翔空に連絡しといてやったから。後は、頑張れ」


「が、頑張れって……!」


「大丈夫だって。深く考えずに、伝えたい事をそのまま伝えろ」


それは何度も聞いたけど!