◇
「……なんで?」
目の前に広がる海にあたしはただそれだけ、呟いた。
「なんでって、妹が初めて告白するんだから、それ相応の舞台が必要だろ?」
先程も見せたニヤリとした笑みで、お兄ちゃんはあたしの頭をくしゃっと撫でる。
夕陽で照らされた海は紅く染まっていて。
平日の夕方とあってか、都会に近いこの海でも人は誰もいなかった。
「病院出る前に、翔空に連絡しといてやったから。後は、頑張れ」
「が、頑張れって……!」
「大丈夫だって。深く考えずに、伝えたい事をそのまま伝えろ」
それは何度も聞いたけど!
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