キミと初恋、はじめます。

｢何がそんなに不安なんだよ｣


何……か。

あたしは目を伏せて、ギュッと手を握りしめた。



｢だって、あたし……｣


｢ん？｣


｢……こ、恋、したの……は、初めてなんだもん｣


｢は？｣


素っ頓狂な声を出したお兄ちゃんに、あたしは赤くなった顔を両手で隠す。


｢まさか、初恋？｣


｢……わ、悪い？｣



こんな気持ちになるのも、こんなに悩むのも、こんなに苦しくなるのも、全部が初めてで。


あたしの〝初恋〟は、翔空なんだから。