「……シキ?目、覚めたのか?」


「……お兄ちゃん」



目を開けていたあたしに気づいたのか、お兄ちゃんは慌てて駆け寄ってくる。



「……大丈夫か?まだ苦しいか?」


「ううん、大丈夫」


「そうか。ったく、なんで薬持ってなかったんだよ」


「ごめん……」



心配するお兄ちゃんに、申し訳なく眉尻を下げると優しく頭を撫でてくれる。



「あたし、どのくらい寝てた?」


空はまだ明るいから、そこまで長くは寝ていないはずだけれど。


あそこで倒れるとか、タイミングが悪すぎるよね、あたし……。


必死に呼びかけてくる翔空の声と、苦しそうな顔を思い出して溜息をつく。