自分が思っているよりも、もっとずっと……シキの事が好きで大切で、愛おしい。
こんなに苦しそうなのに、何もしてあげられないこのもどかしさが、胸を締め付けた。
やっと細道から抜け、門が見えてくる。
その門の横壁によりかかるサングラスの男に目を惹かれながらも、俺は遠くから聞こえてきた救急車の音に、走る速度を速めた。
「……え、シキ!?」
「は?」
門の手前で足を止め、あがる息を整えていると、突然サングラスの男が俺に近づき、サングラスを顔から抜き取った。
その顔があまりにも整っていて息を呑む。
……この顔、どっかで……
って、シキの知り合い?



