おおかた、親の転勤が関連してるのだろうけど。
「……詩姫は」
「なっつん、それは言わない方が」
「でも、こいつ鈍感じゃん!」
「かも、しれねぇけど……それじゃあシキちゃんの気持ちが報われねぇよ」
この2人は、付き合う前からこんな感じだったなー。
よく3人でいたけど2人が付き合い初めてから、少しだけ俺は距離を置くようになった。
でも、お互いがお互いを好きなのは、本当によく伝わってくる。
「……俺、ずっと羨ましいって思ってた。夏と祐介のこと」
「え……?」
「羨ましい?」
俺の言葉に、2人は口喧嘩をやめて怪訝な顔をする。
「そーやって喧嘩してても、ちゃんとお互い想いあってる。それが俺にも伝わるくらい……幸せそう」
「っ……だから詩姫は「夏菜!」」
何かを言おうとしたらしい夏を、珍しく名前で呼んで怖い顔をした祐介。



