キミと初恋、はじめます。


◇翔空side


パタンッと閉めた扉の向こうから、シキの嗚咽が聞こえてきて、胸がギュッと締め付けられた。


ほんと、なにやってんだろ。



「……いいの?」


静かに諭すような声の方を向くと、表情の読み取れない夏と、複雑な顔をした祐介が立っていた。


……聞いてたのか。

俺らしくないところ見せたな。


「泣かせちゃった、俺」


へらりと笑って言えば、2人の顔が僅かに歪んだ。



──……わかってる。

俺は今、きっとうまく笑えてない。