「……っ」
「こーゆーこと」
「なにが……っ」
あたしの腰に手を回し、グイッと体を密着させたまま目を細めて見下ろしてくる翔空に戸惑い、かたまる。
「こんな密室に、男を連れ込んじゃダメ」
「み、密室って」
「俺だって、男だよ……?」
「っ、それは!」
翔空はあたしの唇に人差し指をピタッとあてた。
反抗する口を塞ぐように、静かに優しく。
「俺は、シキが嫌がる事はしない。……でも、好きな子と一緒にこんな密室にいたらさ。俺だって、魔がさすかもしれないよ?」
「……と、翔空はそんなこと、しない」
「どうしてそう思う?」
ドキドキと異様なくらい心臓が騒がしい。
いつもの無気力な翔空とは違う、どこか野生を感じさせる、その細められた瞳。
それでもその瞳はやっぱりいつもと同じ、青がかった透き通った色をしていて。



