キミと初恋、はじめます。



「ちょっ……と、翔空!?」


お姫さま抱っこをされたまま、あたしは真っ赤になりながらバタバタと暴れた。



「暴れないのー。シキ、あれ、見て」


「っ……え?」



翔空に促され、渋々顔を向けた先。

掲示板の大きな張り紙が目に飛び込んできた。



「あ……」



成績順位

1位︰華沢 詩姫 892/900


そう書かれた自分の名前に、あたしはポカンと口を開ける。



「やっぱ、シキはすごいね」


「なんだ……良かったぁ」



ホッと安堵して、翔空につられるように微笑むと、隣から呆れた溜息が2つ聞こえてくる。



「あのさ、あんた達。場所くらいわきまえなさい」


「目立ち過ぎだろ」



なっちゃんと祐介くんの声に、ハッと周りを見回せば、その場の皆が食い入るようにあたしと翔空を見つめていた。


は、は、恥ずかしいっ……!



「と、翔空!」


「なにー?」


「おろして!今すぐ!はやく!」


「わかったから、そんなに暴れないで」



トンッと地表に下ろされた途端、あたしは翔空の手を引いて走り出す。