君に、最後の長いためいきを

「何お前、色気ないな」

「んー?」

「ハイヒールくらい履けよ」


童顔だしな、その方が大人っぽく見えるだろとからかえば、ぐしゃぐしゃになった髪を手ぐしで整える彼女が、その手を止めた。


「……君、背低いから」


唸るように、吐き出すように、いとおしそうに、ゆっくりと。


「私よりは高いけど、でも、身長差変えたくなかったから」

「え……?」


呟きに固まる。


彼女の顔は跳ねた髪で隠れたまま、俯いて見えない。


「踵ある靴履いたら、あの頃みたいに話せないでしょ?」


お返し、とばかりに、彼女は背伸びして俺の髪を乱した。


「じゃあね」


俺の頭を大きくかき混ぜた白い手は、素早く離れていく。


「また今度」

「え、ああ、うん。今度な」


急展開についていけていない俺を放って、もどかしげに瞬きをして。


「好きだよ」


彼女は、もう一度。