君に、最後の長いためいきを

「ねえねえ、彼との馴れ初め聞きたい?」

「はあ?」


素で尖った返事がこぼれる。


え、聞きたくないけど全然。


思わず出た鋭い声はさらりと流して、彼女は一口飲んだ。


「聞きたい?」


……駄目だこいつ、明らかに自分が聞いて欲しいだけだろ。


言う気満々な隣を盗み見る。


「あのね、」

「……ごめん聞きたくない」


遮った声は明らかに不機嫌で、肩を跳ねさせた彼女は口を結んでこちらを覗き込んだ。


沈黙が落ちる。


ごめん、というのはよく聞こえなかったけど唇で読めた。


「……い、や。違う。違くて」

「…………」

「嘘。嘘だって。聞きたいよ」

「本当?」


ん、と頷いた俺に、途端に笑顔になった彼女に軽く苦笑する。


……まあいいよ。


その顔が見られるなら、他人との馴れ初めなんて不本意な代物を聞く価値がある。


欲張るんじゃなくて、俺はお前が笑っていればいいや――その隣が俺じゃなくても。