君に、最後の長いためいきを

「久しぶりに君に会いたくなったんだよ」と、笑い。


覚えている頃より髪が伸びて、汗の匂いは淡い香水の甘さに変わって。


化粧をした幼なじみは、綺麗になった。


少し、断じてほんの少し、大人っぽくなった彼女を待ち合わせ場所で見たときは、一瞬誰だか分からなかったほどだ。


「み、」


見違えた、と言いかけて慌てて口を閉じる。


喜ぶのが明らかなのに言ってやる気はない。


「見違えたでしょー」


彼女は得意げに胸を張り、ニヤニヤと締まりのない顔でこちらを見遣った。


ほら、やっぱり。


こうなるから嫌だったんだよ……!


せめてもの抵抗として、見違えてない、と断言し直す。


それでも嬉しそうな笑みはそのままだ。


「…………」


誤魔化すために話題を探す。


よくからかったネタが未だに通用することに気付いて、咄嗟にその話題を振った。


「お前全然成長してないのな。ちっさいまんま」


小さい、とはいえ俺の肩くらいまではあるのだが、その辺りは華麗にスルー。


「それは君が大きいんでしょ、私は平均なんですー!」

「どこがだよ」


以前と同じ返答に安堵する。


肩を怒らせる憤り方も成長していないようで、おかしい。


息の荒い彼女が、しばらくして落ち着いてから静かに呟いた。