翌日、出張で実家の近くに行った彰人は、そのまま実家に帰った。
ゆっくり風呂に浸かろうと思ったのに、妹の花音(かのん)に五分で入れと言われ、久しぶりに帰ったのに肩身が狭いな、と思いながら、部屋で、携帯をチェックしていた。
寂しかったらかけて来い、と言ったはずだが――。
かけて来やがらねえ、あのこちびっ、と人の良さそうな顔をして、自分を呪うとかいう女を心の中で罵る。
帰ったら、あのまるっとした顔に、油性マジックで、バカ、と書いてやる、と奇しくも、小春と同じことを思いながら、彰人は携帯をベッドに投げ捨てた。
「花音ーっ」
と言いながら、妹の部屋のドアを叩く。
子供の頃なら、ガチャッとすぐさま開けていたのだが、今はさすがに開けられない。
それでなくとも、このドアにはトラウマがあるから。
「なにおにいちゃん」
と髪を乾かし切っていない花音が顔を覗けた。
「花札が出てきたんだ、付き合え」
はい~? と顔だけ自分に似て美しいが、性格は、こちび寄りな妹が小首を傾げる。
そのまま、ドアを閉めようとした。
「待てっ」
とドアの隙間に足を入れると、
「おにいちゃん、刑事っ!?」
と叫ばれる。



