「……よかった。
やらなくてすんで」
と呟いた小春に、なにを!? と彰人は、ぞっとする。
殺らなくて……としか聞こえなかったのだが。
薄目を開け、窺うと、小春はこちらを見て笑ってみせた。
「すみません。
寝てくださってよかったです。
惨殺までいっちゃってました」
どういう過程で!? と思いながら起き上がる。
「風呂入ってくる。
先に寝とけ」
「え? 何処で?」
と言われ、
「この部屋でもいいし、隣の部屋でもいい」
と言うと、
「あ、ありがとうございます」
と小春は素直に頭を下げてきた。
一見、あどけない殺人未遂犯のまるっとした顔を見た後で、風呂に入った。
やっぱり猫だ。
いきなり爪で襲いかかろうとしやがる、と思いながら。



