だが、性格には難があるが、顔は俺に似て美しい―― と彰人は思っていた。

 あんなものをずっと間近に見てきたのだ。
 どうしても、相手の女に求めるハードルが上がってしまう。

 その中でも、こちびの顔は結構気に入っていた。

 なんというか、美人なんだが、美人ではなく。
 可愛いんだが、女としてというより、小動物的というか。

 他の美人とジャンル違いなところが。

 美人というより、キュートな感じだ。

 しかし、此処がちょっと不思議なところなのだが、他の男には、小春は、普通の可愛い系の美人に見えているようなのだ。

 もったいない、こんな面白い顔なのに、とずっと眺めていると、小春は赤くなって顔を逸らした。

 だが、その普通に照れているような顔に、『呪ってやる』と書いてある気がするのは、気のせいか。

 ……恐ろしい女だ。

 キスひとつで殺されるところだった。

 殺人を回避するために付き合おうと言ったわけでもないのだが……。

 この俺が言ったのに、簡単に流しやがったぞ、この女、と思いながら、立ち上がる。

「そろそろ帰るか」