私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~

 あんな俺様な性格だから、こっちを見ろというように、叩きつけるような音を出すのだと思っていた。

 なんだろう。
 泣きたくなるような旋律だ。

 曲がというより、その繊細なタッチが。

「……今、殺意が湧きました」
 彰人を見たまま、そうもらすと、泉田がこちらを見て、は? と言う。

「芹沢さんって、なんで、なんにも出来るんですかっ。
 くやしい〜っ」

 泉田が吹き出した。

 なんだ? と見上げると、
「いえ、珍しい人だな、と思って」
と言ってきた。

「普通、彰人が此処で弾き出すと、女の子はみんなうっとり見てるだけだから。
 くやしいと言ったのは、貴女が初めてですよ」
と言われる。

 ……今の台詞は、引っかかるところがあるな、と小春は思った。

 女の子はみんなうっとり?

 奴はやはりよく、此処に女の子を連れ込んで、自分の素晴らしさを見せつけているのか。

 おのれ、うっかり罠にはまるところだった!
と思いながら、

 ……はまるところだったのか?
と自分で自分に問いかけそうになる。