私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~

 ええ。
 そんなことをしてくるのは、座ろうとした瞬間、私の椅子を引いて、ころばそうとする男子くらいでしたよ……と思う。

「ほら」
と彰人はファイルの横にあった缶コーヒーを投げてきた。

 なんとかキャッチする。

「さっき、部長にもらったんだ。
 それでも飲んで待ってろ」
と彰人は言う。

 いや、なんかこの状況……彼女みたいじゃないですか、と思ったのだが、彰人は、猫に餌を与え終わった飼い主のように、もうそれぎり、こちらを見たりはしなかった。

 彰人が仕事をしている間、小春はすることもなく、その横顔を見つめていた。

 イケメンという人種は嫌いなんだが。

 やっぱり、眺めてる分にはいいなあ、と思う。

 呪う気も失せそうな横顔だ。

『はあ?
 呪うってなに?

 キスしていただいてありがとうございます、でしょっ?』
と罵る麻里奈の言葉もごもっともかもしれない、とうっかり思ってしまう。

 美形というのは恐ろしい生き物だ……。