私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~

 ほら、土産だ、といつかの夜のように箱を突き出してきた彰人の顔を見た瞬間、張り詰めていたものが、ぷつっ、と切れた気がした。

「彰人さん〜っ」
「どうした?」

「殺してください~っ」
とすがりつく小春に、なにがあったっ!? とさすがの彰人も話について来れないようで訊いてくる。

「もう私なんて、殺してください〜っ。
 私、昨日、井川さんに、三回もキスされちゃったんです〜っ」
と言い出す自分に、後ろに居た千鶴が、あっ、莫迦っ、と言ってくる。

「そんなこと黙ってりゃいいのよっ。
 なんでもオープンにすりゃいいってもんじゃないのよ、男女の仲ってのはっ。

 私だって、菅野に言えないことなんか、たくさんあるわよっ」

 た、たくさん? と思ったとき、小春を抱きとめていた彰人が笑顔で言ってきた。

「わかった殺そう――。

 お前じゃなくて、井川を」

 ちょっと行ってくる、と本当に出て行こうとする彼を、待って待って待って〜っ、と腕をつかんで、ぶら下がるようにして、止める。

 この男は本当に殺る! とその目を見て思ったからだ。

 彰人の腕をつかんだまま、小春はその場に座り込んでしまう。