夜、ソファで膝を抱え、別の会社の友だちと、しょうもないメールのやりとりをしていたら、背後に誰か立った。
「ほら」
と千鶴が小さな袋を差し出してくる。
そ、それは死海のバスソルト。
お姉ちゃんのお気に入りの高い入浴剤だ。
「ゆっくり風呂にでも浸かりなさいよ」
「お、お姉ちゃん~っ」
とすがりつきそうになったが、
「その代わり、完膚なきまでに菅野をフッてよね」
と言われる。
「は……はい」
じゃあ、ありがたくいただいて、お風呂に入ろうか、と思ったとき、チャイムが鳴った。
インターフォンの近くに居た千鶴が、はい、と出たが、すぐに切ると、
「あんた、行きなさい」
と言う。
「い、いや……」
それが誰なのか察して、小春は言った。
だが、いいから行きなさいよっ、とリビングから蹴り出される。
バスソルトを握ったまま、よろよろっと玄関に行くと、彰人が立っていた。
「ただいま、こちび」



