私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~





 その日、彰人は忙しかったようで、ずっと社外に出ていて会えなかった。

 いや、まあ、会うのも気まずいけどな、と小春は思った。

 電話なら、なんとか誤魔化せたが、いざ、目の前にして、彰人を誤魔化せるかと言うと、ちょっと自信がない。

 昼休みは井川と菅野を避けるように、社食に行かずに、みんなを誘って外に出た。

 新しく出来たオープンカフェのテラスでみんなが盛り上がるなか、テンションが低い小春に、彩音が、

「どしたの? こちび」
と訊いてくる。

 ああ、この人まで、こちびと呼ぶように……と思いながら、

「すみません。
 今、妄想の中で、反省のあまり、経典を取りに天竺まで行ってました」
と呟くと、

「……あんた、なにをやらかしたの?」
と言ってくる。

 お洒落だが冷たい椅子に背を預け、木漏れ日を見ながら溜息をもらした。

「もう会社に戻りたくないです。
 誰か私を連れ去ってくれないですかねー?」
と言ってみたが、ただ、仕事に戻りたくないだけと解釈され、

「そんな台詞は芹沢くんにでも言ったら?」
と言われ、笑われてしまう。