朝、小春は部屋にある姿見の下の、横長の大きな紙袋を見ていた。
どうしても、その袋に手を触れる気になれない。
昨日買った服。
着れないな~。
嫌なこと思い出しそうで、と思い、また、ベッドに倒れ込む。
彰人さんに見せたかったな。
よく似合ったのに、と思うと、また、じんわり泣きそうになる。
なにかこう、なにもかも上手くいかない。
今朝は彰人さん、会社に来てるかな?
行きたくないよ。
熱出ないかな?
水風呂にでも入ってみようかな。
……荒行みたいで、かえって健康になりそうな気がする。
だが、仕事に行かないわけにも行かず、いつもの習慣で自動的に着替えたり食べたりしている間にも、現実逃避気味の妄想は炸裂し、彰人を殺して、自分も死のう、くらいまで行っていた。
いつもなら大喜びする母親が朝作ってくれた焼きたてふかふかパンを食べながら、姉を見る。
彼女もテンション低そうだったが、それでも、今朝もバッチリメイクだ。
やはり、女として、根本からなにかが違うな、と思っていた。



