井川と出かけた小春は、普通に友だちと遊ぶように、食事に行き、ショッピングをして、それなり、楽しく時を過ごした。
一日ぼんやり彰人さんのことを考えている暗い日曜日にならなくてよかった、と思っていた。
帰り道、車がちょっと山の方に入ったな、と気づくまでは。
あれ?
こんなとこ、通る必要ある? とは思ったのだが、近道なのかもしれないと、また勝手な解釈をしてしまう。
だが、気がつくと、人気のない広い山道で車は止められ、
「小春ちゃん……」
と自分の名を呼ぶ井川に、手を握られていた。
おや? なんだか不穏な感じがする、と思ったときには遅かった。
シートベルトを外した井川に抱き締められていた。
「いつも彰人に遠慮してきたけど。
彰人がはっきりしないのなら、僕にも告白するくらいのことは許されるかと思って、勇気を出してみたんだ。
菅野が君に無理やりキスしたって聞いて、僕も引くことないと思ったし」
班長……なんてことしてくれたんです、と井川の身体の熱を感じながらも、身動き出来ずに小春は固まっていた。



