私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~

 さっき、菅野にキスされた嫌な思い出の残る階段の方に連れて行かれる。

「どうしたの、こちびちゃん」
と問われ、錯乱状態のまま、真実を口にしてしまう。

「ちょっと他の人にキスされちゃって」

 井川は一瞬、息を呑んだが、すぐに、はて? という顔をし、
「……で、なんで、彰人が殺されそうになってんの?」
と訊いてきた。

「だって……だって、彰人さん、助けに来てくれないから~」
と人の良さそうな井川の顔にようやく緊張が解けそうになって、泣き出してしまう。

「いやいやいや。
 幾ら彰人だって、そんな見てないとこで起こってることに気づいて駆けつけるなんて無理だよ」
と彰人をかばう。

「後ろに目があるわけでもないし」

 ありそうですよ、あの人、と思いながら、その言葉を聞いていた。

「虫の知らせとかあるじゃないですか~っ」
と言うと、

「それって、人が死にそうなときとかに使う言葉じゃない?」
と言われてしまう。

 そうじゃないときもありますよーだ……。