めぐる、めぐる、ヒカリ

「ママ、多恵さん・・?」

ザワザワする不安な気持ちを必死に抑えて、私はママと多恵さんの姿を探す。

「ーーお嬢さんっっ」

リビングから多恵さんが飛び出してきて、私をきつく抱き締める。


「お嬢さん、しっかり。 気を確かに、聞いてくださいね」

しっかり、気を確かにした方がいいのは多恵さんの方だと思った。
多恵さんはボロボロと涙をこぼし、声も私を抱き締める手も、ぶるぶると震えていた。

リビングの中には皺だらけの背広を着た男が何人もいて、まるで泥棒のように私の家を荒らしていた。

泥棒・・・?事件・・・?
警察、警察を呼ばないと・・・
ママ、ママは?


私は目だけを動かしてママの姿を探す。


ママは放心したように床に座りこんだまま、ぴくりとも動いていなかった。


「ーーママ?」

泥棒のような男達の中で、おそらく一番若いであろう男が私に近づいてくる。


「三条の娘の依子さんーーですね?」

パパを呼び捨てにする人なんて、初めて会った。 そんな、どうでもいいことを、思った。