恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

雪野……先輩は、私を斜めから見下ろして再び口を開いた。

「母親はいない。親父は仕事が忙しいから帰宅しても顔合わす時間があんまない。だから飯は別々。俺もお前も。キッチンは自由に使え」

「はい……じゃなくて、うん……」

「じゃな」

「…………」

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雪野先輩の家から南へ10分程歩くと、住宅街の静けさが嘘のように賑やかな大通りへと出た。

一軒のスーパーへ入ると、私はカレーの材料を買った。

だって、雪野先輩とキッチンで鉢合わせたら気まずいもん。

大量にカレーを作っておくと楽だし。

帰宅してキッチンを借り、カレーを作り終えると、私は独りで黙々と食べた。