恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

旬が何だか怖かった。

怖くて、声が出なくて、身体が動かなくて。

「あ、あの」

私が雪野翔を見上げた時、彼がしゃがんだ。

「きゃ」

「しょーがねーな」

フワッと身体が浮いた。

「ちゃんと掴まってろ」

ぶっきらぼうな口調でこう言うと、雪野翔は軽々と私を抱き上げた。

たちまち、社会科の準備室で雪野翔に抱き止められた記憶が蘇る。

男の子っぽい雪野翔の身体が頬に当たって、私はゴクリ喉を鳴らした。

やだ、緊張する。

そんな私になどお構い無しの雪野翔は、

「お前の部屋、どこ」