恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

言いながら雪野翔は私に回した腕を解くと、フッと唇を引き上げた。

「前にも言ったが」

雪野翔は一旦言葉を切ってから、再び続けた。

「口は災いの元だ」

……分かってる。

雪野翔が犬なんだよ、なんて言えるわけない。

言えば私がイカれてるのかと思われちゃうじゃん。

「……わかってます」

私は小さく返事をするとペコリと頭を下げて彼の脇をすり抜けた。

北門まで私は走った。

背中や額に雪野翔の感覚が残っていて、私は胸がゾワゾワして仕方なかった。