恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

コツンと額に当たる誰かの身体。

フワリと包まれる温かい感覚。

加えて香るシトラスの匂い。

これって、もしかして……!

「お前、マジでドン臭せーな」

低くて冷たいこの声は……。

ドキッとして固まる私を雪野翔は至近距離から見下ろして、小さく息をついた。

腕一本を私の背中に絡めて、彼は憮然とした表情でこっちを見ている。

精悍な顔を斜めに傾けた雪野翔は実に大人びていて、私は次第にバクバクと煩くなる心臓を感じて硬直した。

途端にこの間、ここで抱き締められた感覚が蘇る。

「あ、あ、あ、あのっ」

「なんだよ」