恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

「大丈夫よ。パパの会社の社長さんがね、『娘さんが心配なら、うちの息子をボディガードに使ってください』って言ってくださってるの」

……なにそれ。

「もうすぐパパがお連れしてくるわよ、社長の息子さん」

その時、見計らっていたようにインターホンが鳴り、ママが嬉しそうに私を見た。

「おみえになったみたいだわ。瀬里も降りてきて」

なんなんだ、このあれよあれよという展開は。

私は眉を寄せたまま溜め息をつくと、階段を降り始めた。

「雪野社長、いらっしゃいませ」

「加奈さん、お邪魔します」

加奈とは私のママの名前。