恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

眼を見張る私をよそに、彼はそう言うとニヤリと笑った。

その流すような眼差しに、私は思わずゴクリと生唾を飲んだ。

だって、悪い微笑みがこんなに似合うなんて、あり得ない。

絶対暴走族だわ。

そう思いながら恐怖で固まる私に、雪野翔はとんでもない一言を発した。

「そんなに胸、擦り付けんな。地味な割には大胆だな」

ビクッとして俯くと、確かに胸が当たってる……。

「……キャーッ!」

「うるせーんだよ、殺すぞ」

ああ、あの夜、犬神様の祠に行った自分が怨めしい。

私はあの夜、竹林を突っ切ろうとした自分を再び後悔した。