恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

「あの、旬」

歩道の私達をチラ見しながら、沢山の人が追い越していくのに、旬は一体どうしちゃったの?

勿論、こんな事は初めてだ。

「……瀬里、デートしよう」

「……え」

すると旬が、私の後頭部に手を回したまま、斜めから窺うようにこっちを覗き込んだ。

「俺とデートは嫌?」

クッキリとした旬の綺麗な眼。

ああ、旬は本当に素敵だ。

私は夢中で首を横に振った。

「嫌じゃないよ。嫌なわけない」

でも、どうして?