恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

旬は私を見下ろして、そこで一旦言葉を切った。

すぐ近くの駅に、大勢の人が吸い込まれるように入っていく中、旬が立ち止まるから私もつられて足を止めると、まるで私達だけ時が止まっているような感じがした。

「……旬?」

どうしたのかと思って、私が旬を見上げて首をかしげると、急に旬が私に手を伸ばした。

適度に筋肉のついた腕が、私の後頭部に回る。

トン、と額が旬の胸に当たって、何がなんだか分からなくなりそうな程、身体が熱くなった。

なにこれ……。

「なあ、瀬里」

少し旬の声が掠れていて、それがやけにドキドキする。