恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

俺は、王座を諦めるわけにはいかないんだ!

だが、瀬里を死なす気もない!

桜花が泣きじゃくった。

「嫌です!!凰狼様、血清を瀬里さんに飲ませて!」

「黙っていろ、桜花!」

悲鳴のように叫んだ桜花を、凰狼が制した。

「いいえ、黙りませんっ!」

桜花は泣きながら、俺から庇うように凰狼を抱き締め続けた。

「愛するあなたがいなければ、私が生きる意味なんてないものっ!」

「桜花、離れろっ!」

「きゃあああっ!」

俺は渾身の力で凰狼から桜花を引き剥がしてはね飛ばすと、再び凰狼に向き直った。