実はもう、下描きの九割は終わっていて、後は光とか風の感じの細かな描写と仕上げのみを残しているだけだった。

前回は油絵の具だったんだけど、今度の作品はアクリル絵の具に決めた。

だって今回決めた題材と構図は、絶対にアクリル絵の具がピッタリだ。

今日中には下書きを完全に終わらせて、明日からはアクリル絵の具で色をのせていく。

何がなんでもコンクールに出品するんだ!

私はひとりになった部屋の天井を見つめて大きく深呼吸すると、静かに眼を閉じた。

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数日後。

夕食の最中に、私は思いきって先輩に尋ねた。

「……先輩」

「あ?」

「あの、誕生日っていつですか?」