恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

翠狼は、唇を引き結んだまま何も言わなかったから、私は続けた。

「でも、これだけは分かって欲しいの。雪野先輩は、今でもあなたを好きだって」

翠狼が苦しげに眉を寄せて、私から顔を背けた。

「もういい。行け」

言うなり彼は私の身体を抱き上げて階段を上ると、玄関の扉を開けた。

「大通りに出たらタクシーを拾え」

グシャリとお札を私の手に握らせると、翠狼はそのまま門まで私を運んだ。

「行け」 

「翠狼……」

「俺の気が変わらないうちに早く行け!」

痛む身体を引きずるようにして、私は大通りを目指した。

その時、