恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

思い出した……!!

私と先輩を恋人同士だと勘違いしていた翠狼が、私に先輩を嫌いになるように暗示をかけた。

先輩のピアスを奪うようにと。

その上、恋人が自分に心変わりをしたと見せかけて傷付け、私に先輩を殺させようと……!

「早く石を奪ってこい」 

「嫌よ!石は先輩を選んだの。たとえ耳を切って奪ったって無駄だわ。そんなのアンタが一番よく分かってるでしょ」

翠狼が眼を見開いて私を見下ろした。

「思い出したわ。あんたの子供じみた暗示をね。もう効かないわよ」

「な……!」

……もう、暗示になんか負けない。

私の先輩に対する思いは、暗示なんかに、負けない!!

私は翠狼に向かって口を開いた。