恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

「やだ、行かない」

涙声なのが気になったのか、翠狼は僅かに眉を上げると隣から私を覗き込んで、嬉しそうにニタリと笑った。

「なんだ、怖いのか。さっきまでの暴れっぷりはどうした。
……それとも恋人と……白狼と喧嘩でもしたのか。まあ、どちらにせよお前は《満月の儀式》の生け贄にすぎん」

満月の儀式の生け贄?

それに喧嘩?

喧嘩する程親しくないわっ。

そーいや、あんた、私が先輩の本当の婚約者だと思ってるんだよね?!

こんな端正な顔立ちのイケメンが至近距離から見ているのに、私はドキドキするどころかイライラしてきた。

確かに、この状況は怖い。

でも、もう知るかっ。

訳の分かんない暗示なんかかけやがって、バカヤロウ!!