恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

当然、私の心の声がさっきの女子に聞こえるわけもなく、再び私達は非常階段で二人きりとなった。

「あ、あの……」

どうすれば良いか分からなくて、私は雪野翔の腕の中で彼を見上げた。

すると雪野翔は、私の背中に回した手を解いて身体を離すと、斜めからこちらを見下ろした。

「もしも喋ったら、ただじゃおかねーから」

先程とは打って変わった冷めた声で、刺すように私を見る雪野翔。

怖。

……絶対に暴走族だわ。

目付きが半端なく怖いもの。

バイクでひき殺されたくない私は、コクンと頷いて彼を見上げた。

「雪野先輩が……犬だった事は誰にも言いません」