恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

足音の主は私達二人を見て足を止め、私はその瞬間、フワリと抱き締められた。

は。

待って、一生のお願いだから、待って!

な、何事?!

てっきり、どんっ!と突き放されるとばかり思っていたのに、逆に抱き締められるとは。

雪野翔の大きな身体に私はスッポリと包まれ、その男の子らしい固い胸の感覚や彼の体温に、意識が遠退く思いがした。

加えて漂う、爽やかなシトラスの香り。

「雪野くん……」

どうやら、女子のようだ。

「今イイトコなんだ。邪魔すんじゃねぇよ」

そう言いながら、何を血迷ったのか雪野翔は、私の頬に唇を寄せた。