恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

天狼神の魂から生まれた石が、翠狼ではなく先輩を王に選んだために、二人の仲がこじれたって意味だよね……。

それに、私に言った翠狼の言葉が気になる。

「先輩。許嫁って……?」

私の言葉に驚きつつも、先輩は頷いた。

「派閥代表会議で決まったんだ。婚約することで、十八歳での即位が認められる」

「だから、私に……婚約者のフリを?」

「若い人狼王が何かと軽視されるのを防ぐために、王としての責任や義務を司る事の出来る証として課せられた義務なんだ。だからお前にその役を頼み、周りには正真正銘の許嫁だと思わせておきたかった。俺はどうしても王になりたいから」

「 許嫁が死ねば、先輩は王になれないの?」

先輩が頷いた。

「許嫁が姿を消すということを、未熟さの表れと捉えられてしまうんだ。許嫁が死ぬなんて事態が起こると、俺の身体から石が去っていくかも知れない」