恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》

「十歳……」

先輩はグッと眉を寄せて続けた。

「歴代の王は、石に選ばれるとすぐ即位できる年齢だったが、俺はまだ十歳で、当然のごとくその事実が派閥同士の争いを生み、人狼界の和を乱すという結果に繋がっていったんだ。少年が王に選ばれるという前例がなかったから」

先輩……。

多分十歳の少年が、王として即位出来る歳ではないのをいいことに、実権を握ろうとする人狼同士の争いが起こったんだろうな……。

もしかしたら、私が想像も出来ないような悲劇が起こったのかもしれない。

先輩は私を見つめながら尚も続けた。

「翠狼は……五歳上の俺の幼馴染みなんだ。昔は凄く仲が良くて、いつも一緒にいた。石が……俺を選ぶまでは」

それって……。